活用事例

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2.「トログリタゾン」

 トログリタゾンは、インスリン抵抗性を改善する糖尿病治療薬であり、1997年に日本および米国で販売が開始されました。インスリン抵抗性改善薬の重大な副作用として、心不全、浮腫、肝機能障害、黄疸、低血糖症状などが知られています。トログリタゾンでは特に肝機能障害が現れやすく、1997年12月には緊急安全性情報が発出されました[1]。2000年には、米国医薬品局(FDA)の勧告を受け入れてメーカーが自主回収[2]、日本でも販売停止となりました。

 Czeek-Vで「トログリタゾン」を検索すると、総合ランキングでは、下記のような有害事象(副作用)が表示されます。
各々の有害事象項目について、上位にあがる理由を追加で調査し、その見解を記載しています。

有害事象 ランキング コメント
肝細胞障害 1 重篤な肝障害が報告されていて、死亡あるいは生命に危険が及ぶレベルの有害事象が多数報告されている。
受傷 2 本薬剤の服用と受傷とがどのように関連するのか不明である。
肝硬変症 3 重篤な肝障害が報告されていて、死亡あるいは生命に危険が及ぶレベルの有害事象が多数報告されている。
外傷性肝障害 4 外傷性肝障害は物理的に肝臓が損傷することであり、薬物の有害事象としては考えにくい。
黄疸 5 肝障害によって生じる症状である。
A型肝炎 6 A型肝炎はウイルス感染によって生じるものであり、薬剤の有害事象としては考えにくい。
肝不全 7 重篤な肝障害が報告されていて、死亡あるいは生命に危険が及ぶレベルの有害事象が多数報告されている。
肝機能検査異常 8 肝障害の所見である。
肝臓の疾患 9 漠然とした用語だが、この項目の情報源の大半が消費者のためだと思われる。多くは肝細胞障害が起きたことの報告だと思われる。
門脈圧亢進症 10 肝硬変によって生じる症状である。
アンヘドニア 17 何らかの身体症状が現れたことに伴う精神症状として報告されている場合と、精神症状のみの出現が報告されている場合とに大別される。多くは後者である。
悪性肝腫瘍(腫瘍) 24 肝臓悪性腫瘍が本薬剤の直接的な副作用とは考えにくい。
循環器系の疾患 25 「本剤の単独服用、不安症・循環器系の疾患・肝臓の疾患・痛、男/女、第一被疑薬、生命に危険を及ぼす、報告日:2002/08/08, 2002/09/08」を共通とする報告が異常に多い。何か意図的なものを感じる。
感情障害 31 市場撤退が決定した2000年以降にシグナルが上がっているので、有害事象が報告された薬剤を服用したことに伴う不安からくる精神症状の可能性が考えられる。
膵臓癌 32 膵臓癌が本薬剤の直接的な副作用とは考えにくい。
ヘモクロマトーシス 35 ヘモクロマトーシスが本薬剤の直接的な副作用とは考えにくい。
膵臓の障害 38 膵臓の障害は糖尿病の原因になるので、本薬剤が糖尿病の治療薬として使用されていることとの関連による可能性が考えれる。
胆汁性肝硬変 42 肝機能の低下した患者への本薬剤の投与によって、状態が悪化したことが報告されている可能性が考えられる。
ミクロアルブミン尿症 44 本薬剤の適応症である糖尿病による腎障害であらわれる所見である。
肝腫瘍 48 肝腫瘍が本薬剤の直接的な副作用とは考えにくい。
脂肪肝 50 本薬剤の適応症である糖尿病のリスクファクターである肥満との関連の可能性が考えられる。
年代別ヒストグラム、シグナル分布図

図1では、有害事象「肝細胞障害」の累積レポート件数を経時的にプロットしました。販売直後からレポートが増え始め、2002年で500件を超えています。
図1

図2では、有害事象「肝細胞障害」のFDAスコアを経時的にプロットしました。販売初期の時点からスコアが閾値(黄色のライン)を超えていて、シグナルが検出できていると言えます。
図2

参考文献